アウトドア好きの私たち夫婦にとって、ユタ州中部にある「アラピーン・トレイル(Arapeen Trails)」は、お気に入りの場所の一つです。
もう何度も訪れている場所ですが、自然の中では、同じ景色に出会うことがありません。同じ道を走っていても、空の色、雲の形、風の強さ、木々の揺れ方。その日ごとに、まったく違う表情を見せてくれます。
この日も、まさにユタらしい天気でした。真夏のはずなのに、キャンプ場へ向かう途中、大粒の雨があられに変わり、気づけば雪のような景色に。さすがユタ州です。

キャンプ場に到着し、トレーラーの中に入ると、後部にある簡易ベッドがびしょびしょにぬれていました。トイレの床も、水でぬれています。
どうやら走行中の大雨とあられで、トレーラーの屋根に付いていた換気扇のカバーが、見事に壊れて飛んでしまったようです。こういうことが、アメリカのロードトリップでは時々あります。
キャンプ場の近くには、キャンピングカーやトレーラーの専門店があることも多く、このときも設営を終えたあと、翌朝すぐに新しいカバーを買いに行きました。そして夫が、ササッと修理。

夫がメカに強くて本当に良かった、と思う瞬間です。
無事にひと息ついたあとは、いつものように外で朝ごはん。アメリカのベーコンといえば、カリカリを通り越して、もはやパリパリのベーコン。
「なぜアメリカ人は、こんなにパリパリのベーコンが好きなんだろう」と思いながら、それもまたキャンプの楽しみの一つになっています。

今回は、北米で最後期まで生息していたと考えられるコロンビアンマンモスが発掘された、ハンティントン貯水池の近くも走ってきました。アラピーン・トレイル周辺には、ただ美しいだけではなく、太古の記憶が静かに残っています。
森の中に身を置くと、五感がゆっくり開いていくような感覚があります。風に揺れる木の葉や枝の音が、沖縄の海の波音のように聞こえたり。
空を飛ぶ鳥の羽音まで届くほどの静けさの中で、ふと、後ろから大きな音が近づいてくることがあります。まるで地下鉄の電車が、遠くからこちらへ向かってくるような音。次の瞬間、風が私たちを取り囲む木々を大きく揺らしながら、通り過ぎていきました。
その感覚は、以前ユタで体験した地震のときにも似ていました。あのときは、地面の奥から響いてくるような音。まさに地響きでした。
私たちを癒やしてくれる自然。一方で、一瞬にして畏れを感じさせる自然。そのどちらも、同じ地球の姿なのだと思います。
こんな雄大な自然の中に立つと、自分という存在は、宇宙から見れば本当に小さな点のようなものなのだろうなと感じます。
平和なキャンプの時間。
木々を揺らす風。
太古のマンモスが眠っていた大地。
そんな場所にいると、外側の大きな出来事へ向きすぎていた意識が、静かに内側へ戻っていきます。 争いのない世界は、どこか遠くにある理想ではなく、一人ひとりが自分の内側を整えていくことから、少しずつ広がっていくのかもしれません。
マンモスの記憶が眠る森の風景をもう少し感じてみたい方は、BE-PALさんの記事もどうぞ。
日本のアウトドアWebメディアで紹介していただいた記事です。
