中学生のころ、「しょうこねーねー」と呼んで、憧れていた先輩がいました。
別の中学に通う、少し年上の女性です。
セーラー服の着こなし。
小麦色の肌によく似合う、明るく染めた髪。
そして、ピアス。
いつも「よい子ちゃん」でいようとしていたわたしには、しょうこねーねーがとてもかっこよく見えました。
当時、中学生がピアスをするのは、ちょっとした「プチ不良」のような時代。
だからこそ、わたしにはまぶしく見えたのだと思います。
あれから約30年。
そんな昔のことを、すっかり忘れていた母の日。
用事はないけれど、ただ「お母さん、いつもありがとう」と伝えたくて、沖縄の実家へ電話をしました。
すると母が、こんなことを教えてくれました。
「先日、しょうこさんという方が来ていたよ。昔、一緒に空手を習っていて、とてもお世話になったから、感謝を伝えに来てくださったの。まきのことも、とても気にかけていたよ」
母の言葉を聞いた瞬間、少しずつ記憶がよみがえります。
誰が決めたのか分からない「こうあるべき」という枠の中で、よい子ちゃんを演じていた学生時代。そんなわたしにとって、少し不良っぽくて、自由に見えたしょうこねーねーは、特別な存在でした。
今ではお互いに家庭を持ち、同じくらいの年の子どもたちにも恵まれているとか。
しょうこねーねーは、「ずっとお礼が言いたかった」と話してくれたそうです。
当時、空手道場があったのは、わたしの祖父母の家。
今の実家は、その場所から引っ越しています。
それでもしょうこねーねーは、1時間以上かけて今の実家を探し、訪ねてくれたそうです。
空手の稽古のあと、をばぁがいつも用意してくれたお茶と黒砂糖。
一緒に囲んだ夕飯の食卓。
忘れていたはずの景色が、ゆっくりと心に戻ってきます。
たったひとりでも、
「あなたに会えてよかった」と思ってくれる人がいる。
それだけで、あの日のわたしも、今のわたしも、そっと肯定されたような気がしました。
しょうこねーねー。
こちらこそ、ありがとう。
