毎日を過ごしていると、つい「足りないもの」に意識が向くことがありますよね。
そんなときは、自分にそっと声をかけています。
「もう、ちゃんと持っているよ」
心が少しずれたら、また戻す。
その繰り返しでいいのだと思います。
父の体調と、わたしが思い出したこと
今、長期で沖縄に里帰りしています。
父は昨年、脳梗塞で緊急手術を受けました。
医師からは「空手を含め、普段通りの生活に戻っても大丈夫」と言われるほど、術後の経過は順調です。
ただ、そのあと、心の状態が弱くなり、病院でパニック障害と診断されました。
わたし自身も以前、アメリカ生活のストレスからパニック障害を経験しています。
だから、父の気持ちに少し寄り添える部分があります。

以前、知人の紹介で、ニューヨーク在住のスピリチュアルカウンセラーの方と電話で話したことがありました。
そのとき、わたしはこう聞きました。
「わたしのパニック障害は、完全に治りますか」
その方の言葉は、今でもよく覚えています。
受け取り方は人それぞれなので、ここでは、わたしが感じた声のトーンをもとに書いています。
あなたには3100の天使がついているわね。
パニック障害は、最初から持っていたものではないわよ。
パニック障害で苦しむ人たちの気持ちを分かってあげられるように、あなた自身が体験したかっただけよ。
そう言って、気持ちがよいほど、あっさり笑い飛ばしてくれました。
あのときの言葉を、今回の里帰りで何度も思い出しています。
ここまでに出会った人や出来事は、きっと今につながっていたのだと思います。
そのときは分からなくても、あとになって静かに意味が見えてくることがありますよね。
鳥のさえずりと、心が軽くなった朝
父の状態や、実家の空気が想像以上に弱く感じられた日がありました。
わたしまで、少し心が重くなりそうでした。
そんなとき、ふと聴きたくなった曲があります。
Bob Marley & The Wailersの「Three Little Birds」です。
英語の曲ですが、歌詞の意味もとてもやさしいので、気になった方はぜひ調べてみてください。

実家の庭には、毎日のように鳩やメジロ、ウグイスがやって来ます。
鳥たちの生のさえずり。
そして、Spotifyから流れるBob Marley & The Wailersの「Three Little Birds」。
その両方を聴いていると、曇っていた空がふっと晴れて、真っ青な空が広がりました。
同時に、心もすーっと軽くなっていきました。
情報があふれて、誰かを批判する声も多いこの世界で、目の前の鳥たちは、ただそのまま生きています。
純粋に、ありのままに。
そう感じた瞬間、心の中の緊張がほどけました。
わたしたちは、そのときの心のあり方で、目の前の景色の受け取り方を変えているのかもしれません。
でも、「よい」「悪い」と決めつけすぎると、そこからまた批判が生まれてしまいます。
だから、まずは中立でいること。
そのうえで、わたしは心地よい方を選ぶ。
それだけでいいのだと思います。
沖縄の暮らしで見えてきた、足元の豊かさ
アメリカに移り住んで、もうすぐ23年目に入ります。
アメリカ生活が長いせいか、沖縄に帰ると、よくこう言われます。
「雰囲気まで、なんだか外国人っぽくなっているね」
そんなふうに言われると少し笑ってしまいますが、心は日本人のままでいたいなと思います。
沖縄での生活は、アメリカとはリズムが違います。
少し戸惑いながらも、両親や妹たち、姪っ子、甥っ子に聞きながら、日々のことを一つずつ進めています。
洗濯をする。
掃除をする。
ウサギのノノや、ベランダに来る鳥たちのふんを片付ける。
ごみを分別する。
なんでもないような暮らしの作業が、少しずつ自分を整えてくれます。

妹と一緒に古紙を買い取り業者へ持って行き、450円を受け取った日もありました。
そのお金を高速道路代にして、ユタ州時代からつながっている大切な友人とランチへ行きました。
同じ国際結婚をしている友人です。
渡米したばかりの頃は、化粧品を買うお金も、外食をする余裕もありませんでした。
だからこそ、お金をもっと大切に、感謝して使っていた気がします。
それなのに、いつの間にか、値段をあまり気にせず、必要以上に新しいものを買うことが当たり前になっていました。
夫婦で健康を削るようにして手に入れた、アメリカでの少しぜいたくな暮らし。
その中で、「あるものを大切に使う」という感覚を、少し忘れていたのかもしれません。
沖縄の暮らしは、そのことを静かに思い出させてくれます。
ご近所さんの畑から、パパイヤやジャガイモ、玉ねぎ、ピーマンをいただく。
その新鮮な食材で、母が夕飯を作ってくれる。
父が畑から収穫したバナナやパパイヤを、自然の恵みに感謝しながら食べる。
そして、それをご近所さんに分ける。



足元にある豊かさ。
循環する暮らし。
大きなことではないけれど、こういう日々の中に、本当に大切なものがあるのだと思います。
沖縄で運転して感じた、日常の小さな冒険
今回は、周りに頼りすぎず、自分でも動けるようにしたいと思いました。
そのため、アメリカで国際運転免許証を取って、沖縄へ持って来ました。
最初の頃は、方向指示器の代わりにワイパーを動かしてしまうこともありましたが……。
それでも、少しずつ運転に慣れてきています。
とはいえ、先日は両親の確定申告に付き添った先の駐車場で、思い切り逆走してしまいました。
まだまだ、日常の小さな冒険です。
母が確定申告を済ませる間、海の見える駐車場に車を停めました。
窓から入ってくる海風を感じながら、父とゆんたくを楽しみます。
ゆんたくは、沖縄の言葉で「おしゃべり」のことです。
特別な会話ではありません。
でも、こういう何気ない時間が、今はとても愛おしく感じます。
大切なものは、今ここにある
大切なものは、過去でも未来でもなく、きっとすぐ近くにあります。
今この瞬間を、子どものように夢中で楽しむこと。

そうしていると、自然と自分にも優しくなれます。
その優しさは、きっと周りにも静かに広がっていきます。
とてもシンプルです。
周りの目を気にして、自分を強く見せる必要はないのだと思います。
弱さがある日も、迷う日も、そのままの自分でいい。
沖縄の素朴な暮らしは、忘れかけていた大切なことを、日々そっと思い出させてくれます。

ありのままの自分に戻る時間。
今ここにある、静かな豊かさ。
