大地が空と出合う場所:ナバホの国、モニュメントバレーへ

The View Hotelは、赤い岩山を正面に望む、名前の通り「眺め」のためにあるようなホテルです。

そのすぐそばから、モニュメントバレーのシーニックドライブへ入っていきます。
遠くから眺めていた赤い大地の中へ、車でゆっくり進んでいく。
旅の景色が、ここから少し深くなっていきます。

目次

パンフレットに書かれていた言葉

モニュメントバレー・ナバホ・トライバル公園の中に建つ、The View Hotel。

“Where the Earth Meets the Sky”
大地が空と出合う場所。

これは、モニュメントバレー・ナバホ・トライバル公園に入るとき、入口でもらったパンフレットに書かれていた言葉です。

赤くどこまでも広がる大地。
空へ向かってそびえる岩山。
頭上には、深く澄んだ青い空。

その場所に身を置くと、いつもの地球とは少し違う場所に来たような感覚になります。
知らない惑星に、そっと足を踏み入れたような時間でした。

The View Hotelの周りを少し散策。赤い大地の空気を、ゆっくり感じる時間。
ジョン・ウェインが好んだと伝えられる場所。西部劇の記憶が、静かに重なる景色。
ランチを楽しみにしていたレストランは、工事中でお休み。
また訪れる理由がひとつ増えた。

2時間では足りなかったシーニックドライブ

公園内のシーニックドライブは、最初に「2時間待ち」と言われました。
けれど、実際には30分ほどで入ることができました。

モニュメントバレーのシーニックドライブは、約24キロの未舗装道路を車で巡るルートです。
この日は見学時間が2時間に制限されていました。

入る前は、2時間あれば十分だと思っていましたが……。
実際はまったく足りませんでした。

旅は、すべてを見尽くさなくてもいいのかもしれません。
少し残るから、また心がその場所へ戻っていきます。

冷たい風の中で見る、赤い大地

この日は風が強く、ジャケットなしで車を降りるには寒いほどでした。

そんな中、岩の上で記念写真を撮る若い観光客の姿もありました。
軽装で風を受けながら、楽しそうにポーズを取っています。

見ているこちらまで寒くなりそうでしたが、寒い地域から来た人たちにとっては、この気候もそれほど厳しくないのかもしれません。

コーヒーやナバホタコを販売する建物。
旅の途中で、少し足を止めたくなる場所。

旅先では、同じ風に吹かれていても、感じ方が少しずつ違います。
育った場所や、ふだん暮らす土地が違うからこそ、同じ景色の受け取り方も変わるのだと思います。

ジョン・フォード・ポイントで足を止める

途中で立ち寄ったのが、ジョン・フォード・ポイントです。
西部劇の名匠、ジョン・フォード監督が好んだ撮影場所として知られています。

ここでは、馬と一緒に記念写真を撮ることもできます。
また、現地の人たちが車で商品を運び、テーブルの上に手作りの品を並べていました。

足元には馬のふんも。モニュメントバレーでは、そんな風景も旅の一部。

写真を撮り、景色を眺め、少し買い物をする。
そうしているうちに、あっという間に1時間以上が過ぎていました。

入口でもらったパンフレットの地図には、車を止めて景色を楽しめるポイントが11カ所ほど載っています。
この時点で、まだ4番目のポイントです。

ドリームキャッチャーやアクセサリーを販売する建物。ナバホの人々の手仕事に触れる場所。

青空の下の小さな出店。
アクセサリーや土産物を見ながら、映画の場面を想像します。

沖縄の妹へ、小さなお土産を選ぶ。旅の記憶を少しだけ分け合いたくなる時間。

時間が足りないことに、少しずつ気づき始めます。

グールディングズロッジの博物館に入れなかったときと同じように、ここでもまた「次に来る理由」をもらった気がします。

パンフレットにはオフロード車が望ましいと書かれていたシーニックドライブ。
私たちは日産ムラーノで。

小さなブレスレットと、旅の記憶

しばらく車を走らせると、荒野の中に1台のバンが止まっていました。
その前には白い長テーブル。
上には、手作りのアクセサリーがきれいに並べられています。

女性がひとり、椅子に座って店番をしていました。
後ろに止めたバンのドアが時々開き、小さな男の子が顔を出して、女性に話しかけています。

周りには、大きな建物も店もありません。
ただ広い空と赤い大地が続いています。

旅人のわたしには、とても遠く、静かな場所に見えました。
でも、ここで暮らす人たちにとっては、日常の一部なのかもしれません。

そんなことを思いながら、並べられたアクセサリーを見ていました。

ふと目に留まったのは、小さな種をつなげたブレスレット。

その場にいた女性と、少し言葉を交わします。

「ジュニパーの実で作ったブレスレット。悪いものから守ってくれるのよ」

女性の言葉ごと、旅の記憶に残ります。やわらかな笑顔が印象に残る人でした。

ジュニパーの低木

旅先で出会うものは、いつも大きな景色だけではありません。
小さな品物。
短い会話。
そこで過ごしている人の気配。

そういうものが、あとになって静かに思い出されます。

ふとiPhoneで時間を見ると、制限時間の2時間まで、あと15分ほど。
まだ車を降りて歩きたい場所はたくさんありました。

でも、もう戻る時間です。

最後に車を降りたのは、トーテム・ポールと呼ばれるポイント。11カ所ある見どころの、8番目の場所でした。

最後は車を降りず、窓越しに景色を眺めながら、出口へ向かいます。

また来る理由を残して

最後は時間が迫り、車を止めて景色をゆっくり味わう余裕もなくなりました。
入ってきた場所と同じ出口へ向かい、ただ車を走らせることに。

もっと見たかった。
もっと歩きたかった。
もっと、この場所の空気を感じていたかった。

そう思いながら、出口へ向かいます。

それでも、時間ぴったりに公園を出ることができました。
名残惜しさを抱えたまま、モニュメントバレーを後にします。

公園でありながら、ここはナバホの人々が暮らす土地。
決められた時間を守ることも、この土地を大切に訪れるための小さな約束。
シーニックドライブのあとは、園内にあるナバホの伝統的な建物を思わせる小屋を見学。
土地の文化が静かに心に残る。

“Where the Earth Meets the Sky”
大地が空と出合う場所。

その言葉の意味を、ほんの少しだけ体で受け取った時間でした。
そして、また戻ってきたいと思える場所が、心の中にひとつ増えました。

グランドサークルの旅で訪れた場所を、少しずつ記録しています。
赤い大地をめぐる旅の続きも、よろしければご覧ください。

※この記事は、2022年6月に旧ブログで書いたものを、今のわたしの視点から少し整えています。

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