モニュメントバレー最後の記事は、少しだけ笑える朝の記録です。
赤い岩山の向こうから昇る朝日。
冷たい空気。
手に持ったコーヒーと、小さなドーナツ。
そんな静かな朝に、思いがけないハプニングが起こりました。
朝日を見ようとポーチへ出る
ガシャン。
モニュメントバレーから昇る朝日を眺めるために、ロッジのポーチへ出た朝。
背後で、ドアの閉まる音がしました。

手にはコーヒーと、ひと口サイズのドーナツ。
足元からは、ポーチの冷たさがじわじわ伝わってきます。
一瞬、時間が止まったような感覚でした。
「まさか、ドア閉めなかったよね」
夫が静かに言います。
「あっ……」
わたしは、そのひと言しか出ませんでした。
気温2度、ルームウェアのまま外へ
このときの外の気温は、2℃ほど。
ふたりともルームウェアのままで、上着もありません。
しかも、滞在していた部屋からフロントデスクのある建物までは、歩くとかなり距離があります。
この格好で向かうには、少し現実的ではありません。
目の前には、モニュメントバレーの雄大なパノラマ。


美しい景色の中で、わたしたちはロッジの外に締め出されていました。
なぜか穏やかだった朝
夫は状況を理解し、どうすればいいか考え始めます。
怒るでもなく、慌てて叫ぶでもなく、静かに頭を回転させている様子でした。
一方のわたしは、不思議なくらい穏やかでした。
沖縄の言葉でいう、なんくるないさ。
なんとかなる。
理由はないけれど、そんな感覚がありました。
「携帯は持ってるよ」
朝日の写真を撮るために手に持っていたiPhoneを、夫に差し出します。
このiPhoneがあったことが、本当に救いでした。
フロントにつながるまで
夫は、グールディングズロッジのフロントデスクへ電話をかけます。
けれど、このあたりはWi-Fiや電波が安定しにくい場所です。
何度か試しても、なかなかつながりません。
5、6回ほどかけ直して、ようやく電話が通じました。
そのあと、5分もしないうちに、スタッフの方がオフロード車で来てくれました。
夫と同じカーハートのパーカーを着た、やさしそうな男性でした。
マスターキーでドアを開けてもらい、無事に部屋の中へ。
冷たいポーチから、ようやく戻ることができました。
その後の小さな対策
それからは、ポーチへ出るたびに、必ずドアストッパーを置くようになりました。
重めのかばん。
ロードトリップ用にコストコで買っていた水のケース。
とにかく、ドアが閉まらないようにすることが最優先です。

もしiPhoneがつながらなかったら、隣のロッジの部屋をノックして、備え付けの電話を貸してもらうつもりだったと、夫はあとで話していました。

いつも冷静に考えてくれる人がそばにいる。
だから、わたしは「なんくるないさ」と思えたのかもしれません。
モニュメントバレーに別れを告げて
背後のドアには、しっかりストッパー。
目の前には、朝日に照らされるモニュメントバレー。
少し笑えて、少し寒くて、でもなぜか心に残る朝でした。
旅の最後に起きた小さなハプニング。
それもまた、この場所で過ごした時間の一部になっていきます。


グランドサークルの旅で訪れた場所を、少しずつ記録しています。
赤い大地をめぐる旅の続きも、よろしければご覧ください。
